マテリアリティ(重要課題)の特定

青山商事グループのマテリアリティ

青山商事グループは、国際的なサステナビリティ情報開示の流れに適合した情報開示を行うこと、および、経営とサステナビリティの統合を進め、中期経営計画と一体となったサステナビリティ活動の推進に繋げることを目的に、2024年度にサステナビリティに関わる影響評価を実施した上で、マテリアリティ(重要課題)を特定しました。

青山商事グループのマテリアリティ

マテリアリティ(重要課題)

関連するSDGs

スマート/サステナブル
消費への対応

環境、社会に配慮した商品・事業

事業変革と収益力の向上

適正な労働慣行と
人権の尊重

人権経営の推進

キャリア育成と
モチベーションの向上

人的資本経営、ダイバーシティ&インクルージョンの推進

サプライチェーンの人権尊重

人権デューディリジェンスの推進

サプライチェーンマネジメントの強化

脱炭素社会と
循環型社会への適応

2050年カーボンニュートラル宣言への取り組み

ネイチャーポジティブに向けた取り組み

地域コミュニティとの共生

事業を通じた地域活性化への貢献

災害支援、地域支援

経営のレジリエンス向上

グループガバナンスの強化

サステナビリティへの取り組み

マテリアリティは、サステナビリティに係わる重要課題であるとともに、中期経営計画に影響する経営上の重要課題です。青山商事グループでは、毎期継続的に影響評価を行い、経営およびサステナビリティ活動の基礎となるマテリアリティの妥当性をレビューしていきます。

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マテリアリティの特定プロセス

事業環境の認識と課題の整理

青山商事グループの事業を取り巻く環境変化を認識し、サステナビリティに関する国際規範や公開情報等を基に、社会から要請されている課題を整理

Step1 ステークホルダーへの影響評価

青山商事グループの事業活動が、バリューチェーン上のステークホルダーや社会・環境に与える影響を評価

Step2 リスクと機会の評価

ステークホルダーや社会・環境から青山商事グループが受ける影響による、事業上のリスクと機会を評価

Step3 マテリアリティの特定

上記の“ダブルマテリアリティ”に関する影響評価から、青山商事グループのマテリアリティ(重要課題)を特定

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事業環境の認識と課題の整理

青山商事グループの事業を取り巻く環境変化を認識し、サステナビリティに関する国際規範や公開情報等を基に、社会から要請されている課題を整理しました。

ステークホルダー

事業を取り巻く環境

消費者

消費者ニーズの多様化

人口減少による市場縮小

購買行動へのICT化の浸透

消費者のサステナビリティ志向

環境、人権、動物福祉に配慮したエシカル消費の高まり

自社グループ従業員

生産年齢人口の減少

ディーセントワークや人権意識の高まり

多様性の受容への社会的な要請

育児や介護をしながら働く従業員の増加

多様な働き方の選択

サプライヤー

「責任あるサプライチェーン」への社会的な要請

サプライチェーンのグローバル化による人権侵害への加担のリスク

環境、地域社会

脱炭素化、循環型社会への移行

環境問題が引き起こす地域社会や人権への深刻な影響

災害支援や地域貢献への期待

地域活性化への期待

ガバナンス

サステナビリティ経営、統合経営への投資家の要請

非財務要素を含めた中長期的な企業価値評価

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Step1 ステークホルダーへの影響評価

青山商事グループの事業活動が、バリューチェーン上のステークホルダーや社会・環境に与える影響を評価しました。

事業バリューチェーン

ステークホルダーへの影響

原材料
調達

加工品
購買

商品
製造

物流

販売

使用

廃棄

消費者

顧客のプライバシー、セキュリティ

販売や広告宣伝における差別的表現/対応

多様性への配慮

消費者の健康と安全

環境、人権、動物福祉に配慮した製品

従業員(自社グループ、サプライヤー)

差別

セクシャルハラスメント、パワーハラスメント

カスタマーハラスメント

労働時間

賃金

雇用、解雇

労働安全衛生

結社の自由と団体交渉権

移民労働者の権利

強制労働

児童労働

救済へのアクセス

人材育成、能力開発

両立支援、ワークライフバランス

従業員満足、エンゲージメント

環境、地域社会

エネルギー消費、CO2排出

製造過程における環境汚染

有害な化学物質の使用による健康被害

大量消費に伴う資源消費、廃棄物

先住民の権利

動物福祉

地域支援、災害支援

地域活性化、経済効果の創出

ガバナンス

政治リスク(紛争影響地域とのかかわり等)

腐敗リスク(贈収賄等)

【影響評価の方法】

以下の方法により、グローバルなデータソースおよびステークホルダーの声の収集、分析を行い、外部視点と社内視点の双方からステークホルダーへの影響評価を実施しました。

国際的な公的機関等のESGリスク指標

青山商事グループの事業拠点およびTire1サプライヤー工場がある海外10ヵ国※1を対象に、環境、社会、カバナンス関連の16指標※2に関して、公的機関等が公表するESG関連リスク指標※3を収集、正規化した上で、カントリーリスクを評価。

  1. 中国、インドネシア、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、ラオス、マレーシア、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドの10ヵ国
  2. 気候リスク、危険環境リスク、適正賃金、労働時間、差別的慣行、労働安全衛生、結社の自由、児童労働、現代奴隷、土地の権利、先住民族の権利、プライバシーの権利、政治リスク、信用リスク、腐敗認識指数、人間開発指数
  3. リソース・ウォッチ(気候リスク指数)、欧州委員会(有害環境リスク指数)、ILO(最低賃金、労働時間、労働安全衛生、児童労働)、世界経済フォーラム(ジェンダーギャップ指数)、国際労働組合総連合(結社の自由)、米国労働省(児童労働、現代奴隷)、フィグシェア(先住民の権利)、世界銀行(土地の権利、プライバシー権利指数、政治的権利指数、信用情報指数)、トランスペアレンシーインターナショナル(腐敗認識指数)、UNDP(人間開発指数)

NGO団体からの発信情報

青山商事グループの主要事業の関連業界(アパレル、ファッション、繊維)において、世界の主要なNGO約12,000団体が直接発信する情報を収集し、ESG課題に関する発信情報量、発信団体、カテゴリー、内容、主要な事例について分析・評価を実施。

人権デューディリジェンス(人権リスク評価、人権影響評価)

青山商事グループの事業拠点およびTire1サプライヤー工場がある海外10ヵ国+日本国を対象に、国際規範に挙げられた人権のうちビジネスとの関連が深い20の人権指標※4に関して、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則った潜在的人権リスク評価を実施。その上で、人権リスク評価の結果、潜在的人権リスクが高い国・事業のサプライヤー工場を対象に、労働者へのインタビューによる人権影響評価を実施。

  1. 適正賃金(生活賃金、同一報酬)、労働時間、差別的慣行、労働安全衛生、結社の自由と団体交渉権、強制労働、児童労働、現代奴隷、人身取引、土地及び居住の権利、保安慣行、先住民の権利、マイノリティの権利、性的マイノリティの権利、表現の自由、救済へのアクセス、女性の権利、プライバシーの権利、若年労働者の権利、移民労働者の権利

ステークホルダーエンゲージメントプログラム

NPO法人経済人コー円卓会議日本委員会主催のステークホルダーエンゲージメントプログラム「業界毎に重要な人権課題」より人権リスクを評価

参照:NPO法人経済人コー円卓会議日本委員会ステークホルダーエンゲージメントプログラム活動実績

社内関連部門ワークショップ

ESGの各課題に関連する部署の参加によるワークショップを通じて、事業バリューチェーン上で発生しうる潜在的なESGリスク要素を整理

TCFDシナリオ分析

TCFDシナリオ分析に基づき、気候変動に関するリスクを評価

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Step2 リスクと機会の評価

ステークホルダーや社会・環境から青山商事グループが受ける影響による、事業上のリスクと機会を評価しました。

リスク

ステークホルダー

リスク

時間軸

影響度

消費者

顧客離れによる客数、売上、利益の減少

短期~中期

事業の縮小

短期~中期

社会的批判、信用の失墜

短期~中期

自社グループ従業員

採用減少、離職増加による人手不足

短期~中期

業務運営での生産性低下、集客減少

短期~中期

新商品開発等の発想の鈍化

中期~長期

多様性の欠如による機会損失

短期~長期

マネジメント人材の不足による生産性やサービスの低下

短期~中期

採用難による次世代リーダー人材の不足

中期~長期

サプライヤー従業員

工場従業員のストライキや離職による生産性の低下

短期~中期

調達品の品質低下と供給の不安定化

短期~中期

社会的批判、不買運動

短期~中期

環境、地域社会

新たな法規制、政策の導入によるコスト増、売上減

短期~長期

小~大

顧客行動、需要変化に対応出来ないことによる売上減(環境配慮型/エシカル商品等)

中期~長期

異常気象、自然災害の激甚化による調達、生産、物流、販売への影響

短期~長期

小~大

顧客、投資家の評判変化による信用の失墜

短期~長期

消費者ニーズから離れた商品提供

短期~中期

地域での評判低下、ブランド毀損による売上低下

短期~中期

従業員のエンゲージメントの低下

中期~長期

ガバナンス

リスクの顕在化による損害発生、業績への影響

短期~中期

投資家からの信頼の低下

短期~中期

  • 気候変動に関わるリスクの詳細については、「TCFD提言に基づく情報開示」を参照ください。

機会

ステークホルダー

機会

時間軸

影響度

消費者

エシカル消費に関心が高い層からの支持拡大と売上伸長

中期~長期

事業の拡大

中期~長期

市場評価、ブランド、企業価値の向上

中期~長期

自社グループ従業員

ディーセントワークの実現により社内調和と従業員の心理的安全性の確保

中期~長期

業務運営での生産性向上、集客増加

短期~中期

新商品開発等の発想の活性化、多様化

中期~長期

多様性の推進により多様な思考が様々な施策に反映

中期~長期

従業員満足度、エンゲージメントの上昇による人的資本経営の推進

中期~長期

幅広いステークホルダーからの支持・信頼の獲得

中期~長期

サプライヤー従業員

適切なサプライチェーンマネジメントによる工場従業員の定着、離職防止、雇用促進

中期~長期

調達品の品質向上と安定供給

中期~長期

消費者を含むステークホルダーからの支持

中期~長期

環境、地域社会

新たな法規制、政策への対応によるコスト減、売上増

短期~長期

小~中

顧客行動、需要変化への対応による売上増(環境配慮型/エシカル商品等)

中期~長期

BCP対策の強化によるレジリエンスの向上

中期~長期

中~大

顧客、投資家の評判変化による信頼の獲得

短期~長期

消費者ニーズにあった商品開発

短期~中期

地域の課題解決によるロイヤルティ、社会的評判の向上

中期~長期

従業員のエンゲージメントの向上

中期~長期

ガバナンス

投資家による長期的、持続的な評価向上

中期~長期

企業価値の向上

中期~長期

  • 気候変動に関わる機会の詳細については、「TCFD提言に基づく情報開示」を参照ください。

<時間軸>

記載事項

定義

短期

0年~3年後に発生が想定されるもの

中期

4年~10年後に発生が想定されるもの

長期

11年~30年後に発生が想定されるもの

<影響度>

記載事項

定義

事業および財務への影響が大きくなることが想定される

事業および財務への影響がやや大きくなることが想定される

事業および財務への影響が軽微であることが想定される

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Step3 マテリアリティの特定

Step1~2のダブルマテリアリティに関する影響評価から、青山商事グループのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。

マテリアリティ(重要課題)に関する主な施策および指標・目標

マテリアリティ(重要課題)

主な施策

指標・目標

スマート/サステナブル消費への対応

環境、社会に配慮した商品・事業

・環境、社会影響に関するトレーサビリティーの確保(認証取得等)
・ダイバーシティ&インクルージョンへの対応

・お客様からの意見(苦情/お褒め件数)
・認証取得(製品の品質・安全に関する認証、社会・環境配慮に関する認証、店舗の環境認証)

事業変革と収益力の向上

・既存店の収益力の維持・向上
・新規出店によるシェア拡大
・利益重視経営

・オーダー売上高170億円、EC売上高80億円(2026年度迄)
・出店20-40店舗(2026年度迄)
・本部費削減・抑制▲20億円(2023年度比)

適正な労働慣行と人権の尊重

人権経営の推進

・ハラスメントの防止
・適正な雇用
・従業員のインセンティブの向上
・労働安全衛生

・内部通報・相談件数
・従業員エンゲージメント調査

キャリア育成とモチベーションの向上

人的資本経営、ダイバーシティ&インクルージョンの推進

・仕事、育児、介護の両立支援
・多様性への対応
・従業員エンゲージメントの向上

・女性管理職比率12.5%以上(2026年度迄)
・男性育児休業取得率60%以上(2026年度迄)
・従業員エンゲージメント調査

サプライチェーンの人権尊重

人権デューディリジェンスの推進

・サプライチェーンへの人権デューディリジェンスの展開

・人権インパクトアセスメントの実施(カントリーリスクが高い生産国で年1工場実施)

サプライチェーンマネジメントの強化

・Sedex登録の推進と透明性確保
・人権、労働安全衛生、環境対応

・Sedex登録工場32工場以上(2026年度迄)
・Sedex登録工場を通じた調達数割合 33%以上 / 調達金額割合 62%以上(2026年度迄)

脱炭素社会と循環型社会への適応

2 0 5 0 年カーボンニュートラル宣言への取組

・省エネ推進、再生可能エネルギー導入拡大

・CO2排出量削減
[長期目標]2050年 カーボンニュートラル宣言(単体 Scope1+2) / 2050年 再生可能エネルギー導入率100%
[中期目標]2030年 CO2排出量 66%削減(2013年度比) / 2030年 再生可能エネルギー導入率 66%
[3カ年目標]2026年 CO2排出量 59%削減(2013年度比) / 2026年 再生可能エネルギー導入率18%以上
・CDP評価
・グリーン購入比率
・非化石化証書導入率

ネイチャーポジティブに向けた取り組み

・汚染防止
・資源利用、廃棄物の削減
・動物福祉

・製品の環境配慮に関する認証
・製品のリサイクル率

地域コミュニティとの共生

事業を通じた地域活性化への貢献

・教育支援
・スポーツ振興支援

・社会・地域貢献活動費
・地域活性化のインパクト評価

災害支援、地域支援

・被災地支援
・地域貢献活動

経営のレジリエンス向上

グループガバナンスの強化

・事業ポートフォリオ経営の推進
・持続的成長を目指した既存事業投資の拡大
・新規事業の開発、育成及びM&A探求

・企業価値向上:連結ROE向上(2028年度8%)、PBR1倍割れ是正

サステナビリティへの取り組み

・ESG経営の深化
・気候変動対応、人権経営、サプライチェーンマネジメント、人的資本経営およびダイバーシティ&インクルージョンへの対応

・ESGインデックス構成銘柄採用