[社会] ビジネスと人権

人権方針

青山商事グループの人権方針

青山商事グループは、自らの事業活動において影響を受けるすべての人々の人権を擁護することを責務として認識しています。そのため、人権尊重の取り組みの推進を目的として、2011年6月に国連人権理事会で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく、「青山商事グループ人権方針」(以下、本方針)をここに定めます。
青山商事グループは、グループ全体の経営理念である「持続的な成長をもとに、生活者への小売・サービスを通じてさらなる社会への貢献を目指す」ことを念頭に、持続可能な社会の実現に貢献していくためには、グループの影響下にあるすべての人々の人権が尊重されなければならないことを理解しています。

1.人権に対する基本的な考え方

本方針は、青山商事グループが、ステークホルダーに対する責任を果たすため、人権尊重の取り組みを約束するものです。そのため、我々はすべての人びとの基本的人権について規定した国連「国際人権章典」(「世界人権宣言」、「市民的および政治的権利に関する国際規約」、「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約」)や、労働における基本的権利を規定した国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言」に加え、「賃金や労働時間など労働者の人権に関する条約」国連「先住民族の権利に関する国際連合宣言」などの人権に関わる国際規範を支持し尊重します。

2.適用範囲

本方針は、青山商事グループのすべての役員と従業員に適用します。加えて、青山商事グループは、自社の製品・サービスに関係するすべての取引関係者(ビジネス・パートナー)に対しても、本方針の遵守を求めます。

3.人権尊重の責任

青山商事グループは、事業活動に負の影響を及ぼす可能性を完全には排除できないことを認識しています。我々は、自らの事業活動において影響を受ける人々の人権を侵害しないこと、また自らの事業活動において人権への負の影響が生じた場合は是正に向けて適切な対応をとることにより、人権尊重の責任を果たし、責任あるサプライチェーンを築いていきます。

4.人権デュー・ディリジェンス

青山商事グループは、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、青山商事グループが社会に与える人権に対する負の影響を特定し、その未然防止および軽減を図ります。

5.対話・協議

青山商事グループは、本方針を実行する過程において、独立した外部からの人権に関する専門知識を活用し、ステークホルダーとの対話と協議を真摯に行います。

6.教育・研修

青山商事グループは、本方針がすべての事業活動に組み込まれ、効果的に実行されるよう、適切な教育・研修を行います。

7.救済

青山商事グループの事業活動が、人権に対する負の影響を引き起こしたことが明らかとなった場合、あるいは取引関係者等を通じた関与が明らかとなった、または関与が疑われる場合には、国際基準に基づいた対話と適切な手続きを通じてその救済に取り組みます。

8.責任者

青山商事グループは、本方針の実行に責任を持つ担当役員を明確にし、実施状況を監督します。

9.情報開示

青山商事グループは、人権尊重の取り組みの進捗状況およびその結果を、ウェブサイト等で開示します。

10.適用法令

青山商事グループは、事業活動を行うそれぞれの国または地域における法と規制を遵守します。国際的に認められた人権と各国の法令に矛盾がある場合には、国際的な人権原則を最大限に尊重するための方法を追求します。
本方針は、当社の取締役会の承認を得ており、代表取締役社長により署名されています。

制定日 2021年3月2日
改訂日 2024年2月26日
青山商事株式会社
代表取締役社長

青山 理

人権デューディリジェンス

人権デューディリジェンスの概要

当社グループは、「ビジネスと人権に関する指導原則」に則った人権尊重の取り組みを進めており、2021年3月に「青山商事グループ人権方針」を策定しました。そして、人権方針に基づいた責任ある調達を推進するために、グループ調達方針および調達先行動規範を新たに策定しました。
2023年3月に、NPO法人経済人コー円卓会議日本委員会の協力を得て、人権デューデリジェン スの一環である人権リスクアセスメントを実施しました。人権リスクアセスメントでは、当社グルー プのバリューチェーン全体の事業活動(調達-製造-物流-オフィス管理-販売-使用-廃棄) の各段階における、ライツホルダー(人権の負の影響を受ける可能性のある対象者)の人権に負 の影響を与える可能性を評価することで潜在的人権リスクを抽出し、今後優先して対応すべき国、 事業、およびライツホルダーを明らかにしました。
2023年12月には、人権リスクアセスメントの結果に基づき、インドネシアの生産拠点の従業員を対象にアンケート調査と対面インタビューによる顕在的な人権影響評価(人権インパクトアセスメント)を実施しました。

人権デューディリジェンス対象範囲

■事業

当社グループの全事業

  • ビジネスウェア、カード、印刷、メディア、雑貨販売、総合リペアサービス、フランチャイジー、その他

■バリューチェーン

当社グループの事業プロセスの各段階および影響が生じる範囲。主に以下のプロセスを含む

  • 原材料や製造委託先に関連するサプライチェーン(調達・製造)
  • 自社従業員が係るオペレーションプロセス(物流・オフィス管理・店舗)
  • 消費者に係るプロセス(販売・広告・宣伝)

■国・地域

当社グループの事業拠点がある以下7ヵ国

  • 日本、中国、インドネシア、オーストラリア、シンガポール、ニュージーランド、マレーシア

当社グループの主要取引先縫製工場がある以下6ヵ国

  • 中国、インドネシア、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、ラオス

■ライツホルダー

  • 従業員、労働者(自社グループ、サプライヤー、ビジネスパートナー)
  • 製品・サービスの利用者(顧客)、消費者
  • コミュニティの地域住民

■人権指標

国際規範に挙げられた人権のうちビジネスとの関連が深い以下20の人権指標を抽出

  • 適正賃金(生活賃金、同一報酬)、労働時間、差別的慣行、労働安全衛生、結社の自由と団体交渉権、強制労働、児童労働、現代奴隷、人身取引、土地及び居住の権利、保安慣行、先住民の権利、マイノリティの権利、性的マイノリティの権利、表現の自由、救済へのアクセス、女性の権利、プライバシーの権利、若年労働者の権利、移民労働者の権利

人権への負の影響に関する評価プロセス

(1)事業拠点のカントリーリスク評価

国際的なリスク分析・リサーチ・戦略予測の専門機関のデータベースを利用し、国別・人権指標別の人権リスクを4段階で評価しました。

(2)事業リスク評価

売上高、調達金額、店舗数、従業員数などの事業規模から人権リスクへの影響度合いを評価しました。

(3)潜在的人権リスク評価

デスクトップ調査と社内人権ワークショップを実施し、カントリーリスク評価および事業リスク評価結果を基に、潜在的な人権リスクをライツホルダー、人権課題、バリューチェーンを評価軸として、当社事業が人権に負の影響を与える可能性を評価しました。

潜在的人権リスクの特定

デスクトップ調査および社内人権ワークショップの結果を踏まえ、青山商事グループにとって関連性が高い潜在的人権リスクを特定しました。

潜在的人権リスク1:サプライチェーン上の人権侵害への加担

(1)事業・バリューチェーン

  • 主に原材料や製造委託先に関連するサプライチェーン(調達・製造)

(2)国・地域

当社グループの主要取引先縫製工場がある以下6ヵ国

  • 中国、インドネシア、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、ラオス

(3)ライツホルダー

  • サプライヤー労働者、地域住民

(4)人権指標

  • 適正賃金、労働時間、差別的慣行、労働安全衛生、結社の自由と団体交渉権、強制労働、児童労働、移民労働者の権利、現代奴隷、土地の権利、保安慣行、先住民族の権利、マイノリティの権利、性的マイノリティの権利、女性の権利、プライバシーの権利、表現の自由、救済へのアクセス

(5)当社グループとの関連性

取引先縫製工場は人権リスクが高い国で操業しており、労働諸問題は一部顕在的に発生していることが推定される。また、縫製工場に対する有効なマネジメント手法に課題があり、人権侵害への加担の潜在的リスクがあると評価された。

(6)人権への負の影響の予防/低減/是正措置

  • 人権方針の周知、教育研修、およびグループ調達方針および調達先行動規範の共有を進めていく。
  • 調達プロセスの中に人権に関する確認・管理を行う手続(アンケートや社会性監査)を組み入れる。
  • 取引先縫製工場に対して、第三者機関と協力して人権インパクトアセスメントを実施し、顕在的人権リスクを特定・評価した上で、是正を実施していく。
  • 取引先縫製工場の労働者と地域住民が利用できる苦情処理メカニズムを構築・運用する。

潜在的人権リスク2:職場の従業員に係わる労働諸問題

(1)事業・バリューチェーン

  • 主に自社従業員が係るオペレーションプロセス(物流・オフィス管理・店舗)

(2)国・地域

当社グループの営業拠点や販売店舗がある以下7ヵ国

  • 日本、中国、インドネシア、オーストラリア、シンガポール、ニュージーランド、マレーシア

(3)ライツホルダー

  • 自社グループ従業員

(4)人権指標

  • 適正賃金、労働時間、労働安全衛生、差別的慣行、女性の権利、救済へのアクセス

(5)当社グループとの関連性

人員削減や店舗従業員不足から従業員に対する業務過多が発生し、長時間労働や精神的・健康的被害が一部顕在的に発生していることが推定される。また、販売店舗先で顧客からのハラスメントを受けた従業員に対する相談対応体制が整備されておらず、人権侵害の潜在的リスクがあると評価された。

(6)人権への負の影響の予防/低減/是正措置

  • 長時間労働について、経営層をはじめとする従業員全体の長時間労働に対する意識改革を行っていく。
  • 従業員の業務量・業務内容、人員配置等を見直して、改善を行っていく。
  • 店舗従業員のための相談対応体制の整備と対応方法の作成を進めていく。
  • 従業員と定期的にエンゲージメントを実施し、彼らの懸念や問題の把握に努める。

潜在的人権リスク3:消費者の権利の侵害

(1)事業・バリューチェーン

  • 主に消費者に係るプロセス(販売・広告・宣伝)

(2)国・地域

当社グループの販売拠点がある以下6ヵ国

  • 日本、中国、オーストラリア、シンガポール、ニュージーランド、マレーシア

(3)ライツホルダー

  • 消費者

(4)人権指標

  • マイノリティの権利、性的マイノリティの権利、プライバシーの権利、救済へのアクセス

(5)当社グループとの関連性

多様性を尊重することが求められる中、チラシなどの販促物や店舗販売員のセールストークに差別的要素が含まれていることや、製作物(店頭ポスター・チラシ・店舗備品)における性別を匂わせるカラー使用など、消費者の人権を侵害するリスクがあると評価された。

(6)人権への負の影響の予防/低減/是正措置

  • 多様性の尊重に関する方針を組織内に周知浸透させる。
  • 経営層をはじめとする従業員に対して教育や研修を提供し、多様性に係る企業文化を醸成していく。
  • 消費者と定期的にエンゲージメントを実施し、彼らの懸念や問題の把握に努める。

顕在的な人権影響評価(人権インパクトアセスメント)

人権リスクアセスメントの結果、潜在的な人権リスクとして特定されたサプライチェーン上の人権侵害や従業員・労働者に関わる労働問題に関して、国別人権リスクが高く、当社グループの主要商材であるスーツを製造しているインドネシアの生産拠点を対象に、従業員への事前アンケート調査および対面インタビューによる顕在的な人権影響評価を実施しました。
アンケート調査およびインタビュー内容は、国際基準である「ダッカ原則」(責任ある移住労働者の募集及び雇用のための原則)に基づき作成し、また客観性と中立性確保のため、第三者の立場として経済人コー円卓会議日本委員会が実施しました。併せて、管理層へのインタビュー、工場長との対話、および工場現場の視察を通じて、マネジメント状況の確認を行いました。

実施日

2023年12月13~15日

対象者

PT. FUKUFYO INDONESIAの4職場から選定した16名(正社員および契約社員)

評価方法

対象者への事前アンケート調査
対象者への対面インタビューによるヒアリング

評価結果

人権影響評価の結果、従業員の人権への著しい負の影響は認められませんでした。また、会社の労働関連のマネジメントは適正に行われており、従業員とのコミュニケーションも良好であることが確認されました。
その上で、従業員から残業時の休憩時間(適正な労働時間)、生理休暇の周知と取得(女性の権利の尊重)、職場の高温対策・換気・休憩スペース(労働安全衛生)等に関して課題を指摘する意見が挙がりました。
会社として、今回の評価結果を踏まえ、より一層の職場環境の改善と従業員とのコミュニケーションの円滑化に努めていきます。

ステークホルダーエンゲージメントプログラムへの参加

当社は、経済人コー円卓会議日本委員会(以下、CRT日本委員会)が主催する2021年度ステークホルダーエンゲージメントプログラム(人権デューディリジェンスワークショップ)に参加しました。

本ワークショップでは、学識有識者、NGO/NPOなどとの対話を通じ、幅広い人権問題について、議論を行いました。
また本プログラムに参加したアパレル関連企業各社とともに、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が策定した「人権ガイダンスツール」を参考に、「業界毎に重要な人権課題」の特定と見直しを行い、アパレル業界における人権課題について理解を深めました。

2023年度ステークホルダーエンゲージメントプログラム(人権デューディリジェンスワークショップ)の
詳細はこちらから 日本語 / 英語

カスタマーハラスメントに対する方針

はじめに

青山商事グループは、「持続的な成長をもとに、生活者への小売・サービスを通じてさらなる社会への貢献を目指す」というグループ経営理念のもと、すべてのステークホルダー及び地域社会への貢献を目指しています。また私たちの事業活動において影響を受けるすべての人々の人権を擁護することを責務として認識しております。

私たちは、青山商事グループの人権方針に基づき、お客様と従業員の人権を共に尊重し、お客様に対して真摯に向き合い、その信頼や期待に応えることで、より高い満足を提供することを目指していくため、万が一お客様からの社会通念上相当な範囲を超えた要求や言動があった場合の基本的な方針を定めました。従業員の人格を否定し尊厳を傷つける言動に対しては毅然とした態度で対応し、健全な職場環境を確保しつつ、引き続きお客様へ誠意を持って対応し、健全な関係を維持していくことを心掛けます。

青山商事グループの考えるカスタマーハラスメントの定義

お客様からの要求・言動のうち、要求の内容が常識的かつ妥当な範囲を超えるもの、または要求の内容が妥当であっても当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであり、従業員の就業環境が害されるもの

当社は、以下のようなクレーム・言動等をカスタマーハラスメントの例として想定しております。
(例示であり、これらに限りません。)

  • 暴力・威迫・脅迫・威嚇行為
  • 侮辱、人格を否定する発言及び行為
  • プライバシー侵害行為
  • 保証の範囲を超えた修理の要求など、社会通念上過剰なサービス提供の要求
  • 合理的理由のない当社への誹謗中傷、謝罪要求や当社関係者への処罰の要求
  • 同じ要望やクレームの過剰な繰り返し等による長時間の拘束行為
  • 嫌がらせ、不必要な揚げ足取り、執拗な攻め立てやつきまとい・待ち伏せ行為など、当社グループの従業員等個人に対して強い精神的ストレスや恐怖心を与える行為
  • 当社グループ従業員等を無断で撮影・録画する行為や音声などを録音する行為
  • SNSやインターネット上での誹謗中傷 等

カスタマーハラスメントへの対応

  1. 当社グループ従業員に対して、カスタマーハラスメント行為があったと当社グループが判断した場合、サービスの一部または全部の提供をお断りし、停止させていただく場合がございます。また、当社グループが悪質と判断した時には、必要に応じ弁護士・警察等の外部機関と連携し、しかるべき措置や適切な対処を、組織的に行います。
  2. カスタマーハラスメントの被害にあった従業員の安全の確保およびケアを最優先に対応いたします。
    また、相談窓口設置等、対応体制を構築し、カスタマーハラスメントについての知識と遭遇した場合の適切な対処方法の研修を実施いたします。
  3. カスタマーハラスメント行為に対しては、未然防止および事実の客観的把握の目的で、当社一部の業務において、お客様との電話でのやりとりを録音するなど、記録を取らせていただく場合がございます。

お客様へのお願い

多くのお客様におかれましては、上記に該当するような事案もなく当社グループの商品・サービスをご利用いただいておりますが、万が一お客様からカスタマーハラスメントに該当する行為が確認されましたら、本方針に沿って対応いたします。本方針は、お客様の権利を制限することを意図したものではなく、雇用主として従業員の尊厳・人権を守る目的で策定しています。ご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。

今後も引き続きお客様とのより良好な関係を築いていけるよう努めてまいります。